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イキウメ
小枝
青山円形劇場へ「イキウメ」の『散歩する侵略者』を観に行く。
円形はいい劇場だ。回りのお客さんが270度丸見えだけど。どんなに後ろの列でも舞台から10列くらいしかない。のに300人収容。
で、面白かった。愛とか平和とか戦争、とか、大事だけどテーマ的に説教くさいことを、正攻法で面白くしていた。変な小ネタで安く笑わす、みたいなことも少なく、たまに、すごくリアリティのある台詞や、構造的な滑稽さを楽しめる台詞があった。飽きさせないテンポや展開など、とてもうまく丁寧に作られたものだった。二人ほどいいなって役者さんもいた。
一番好きだったシーン。
所有格、という概念を宇宙人に奪われた友達を、嘆き、励ますシーン。所有格の概念を奪われた身近な人がいたとして、そのことを悲しむ、なんて日常生活にあまりない種類の悲しさを感染させられた。
台詞などあまりなかったけど、よかった。
そして小劇場関係者にたくさんお会いして、ああ、みんな、ちゃんと観に来てるんだなあ、、とそこに妙に感心してしまった。
面白いとこ探して、ちゃんと見に行かなきゃなと妙にしゃんとした気分になった。
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『K』を終えて
小枝
零式第9回公演『K』終了致しました。
たくさんのご来場、本当にありがとうございました。

この度、0歳児を抱えたため出演をしなかったことで、いろんなことを感じて判ったり知ったりすることがあった。
今までのわたしは、わざわざ自分からすすんでやっている役者ということをするにあたって、とても独りよがりだったのだと思いました。
とにかく、それ。それが一番判ったことでした。独りよがりだったことで、たくさんの不自由を自分で作って、実はその中で自作自演で苦しそうにしていたのでした。制作スタッフは、役者のために仕事しているんじゃないってことでした。それよりも先の誇りを持っているのでした。
これは大きな発見でした。何かを勘違いしていたのでした。このことに気付かずに、役者をもう何年か続けていたとしたら、と思うとなんだか情けなく恥ずかしい思いです。
そんなに過去の自分が恥ずかしい、って言いまくるのも恥ずかしいかと思いますが(言うほど誰も見てないよ?言うほど成長してないよ?みたいな)丸2年完全に休んだことは大きかった。そしてやっぱり子供を持ったことは大きかった。
ぺらぺらなわたしの日常が、ある日、突然ぺらぺらじゃなくなったから。もう二人くらい子供作って、この先10年は『面白い』毎日が送れると思ったら、わざわざ2重生活を送って、忙しくして、お金使って役者をやることが私の中で位置を違えたから。
だから楽しくやらないといけないのです。わざわざやっていることは、楽しくやらないといけないのです。疲れていたらそんなことも忘れそうだけど、そしたらその日は早く寝るんです。早く寝られるように、日々身の回りを整頓、身綺麗にしていないとだめなんです。それでやっと大きく立ち回ることができるのです。
そしてやっぱり体力、です。役者は体力。体力がなきゃ、いい作品を作れない。稽古を有益にしないといけない。いつも自由でいないといけない。そのためにはやっぱり体力なのです。
ということで、水泳をやろうかと思います。体を操縦する時間を持ちたいと思います。
独りよがりすぎたことに気付いたので、次はもっと面白いことがやりたい、やってみたいことがたくさんあって、今から楽しみです。

打ち上げの大入り袋コーナーで、『K』の中で一番好きなキャラクターは誰か?と、小道具スタッフあんなちゃんに質問されました。婦警の貝塚麻衣子さんと答えました。
彼女は劇中、何度か、「わかりません。」と言うのでした。それが、好きでした。好きな台詞は他の登場人物でもたくさんあったけど、好きなキャラクターと訊かれたら、私は会話中で「わかりません。」を何度も言える貝塚麻衣子が好きでした。嫌われる、無知を知られる、話がとぎれる、、、いろんなリスクを思って人は「わかりません。」とすぐに言えないと思うのです。自分で何かを指して、「私、あれが本当にわからないの。」、そう言うのとは違います。銀河鉄道の夜のアニメの中で、カンパネルラが、銀河の不思議な出来事を訊かれて、わかりません。と答えるのです。わたしはいつもあそこで静かに衝撃を受けるのです。わたしはそう答えることができるのだろうか。わかりません。貝塚麻衣子さんは、銀河鉄道の夜のあの猫と同じように、わかりません。と言うのでした。だから、好きでした。(でもぶっちゃけちゃあちゃんが好きなのもあるよ。)
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零式 K
小枝
零式の次回公演、『K(ケー)』の特集ページができました。
みなさまこぞって御覧下さいませ。今年の夏も零式公演を観てね。

今回はキッチンが舞台です。
私は出演しませんが、今から零式公演が動き出して、9月に本番を迎える
ことがとても楽しみです。制作さんやスタッフさんは、こんな気持ちだった
のかと今わかるような気がします。

本番中は毎日劇場にいますので、みなさまお誘い合わせの上、ぜひ
ご観劇くださいませ。

零式第9回公演『K(ケー)』
下北沢 小劇場 楽園
9/5(水)〜10(月)まで
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川上弘美
小枝
川上弘美、好きです。
図書館で大量に置いてあるだけの川上弘美を借りてきて、パソコンをウイーンとする時間とか、立ち上がる時間とかにひとつの短編集を読むのが好きです。
さいきんはもっぱら短編集しか読めん。
でもたまに、ん?このデキは微妙じゃない?って思うものもあって、特にクウネルに連載しているのは二つに一つはわたしにとってアタリじゃない。
一番さいきん面白かったのは、

短編冊子雑誌
Yomyom2 のなかの、板前さんとおかみさんの恋愛のはなしだった。
恋愛の話って恋愛っぽくなく書かれてるほうがよりリアルにぞくぞくします。

昔は山田詠美を繰り返し読んでいた。
それもまだ山田詠美が若かりし頃の、激しいやつ。
さいきんは、なんだかもっと彩度が低くて、言葉もしとやかで、
「だいたい男なんて○○よ」みたいなニオイがしないので、
ああ、いいな、って思います。本の紙のにおいがわかる感じです。

川上弘美さんのはでも、
東京日記 卵ひとつぶんのお祝い
っていうエッセイが、すこぶる面白かったな。こんどトイレに置こうかな。
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「殯の森」
小枝
 「殯の森」を観た。カンヌ国際映画祭受賞の特集のつもりで録画したNHKのBSHiの番組で、河瀬直美監督のインタビューのあと「それでは本編を御覧下さい。」といわれ、えー?と思いつつ、そのまま鑑賞した。

第60回カンヌ国際映画祭にて「殯(もがり)の森」がグランプリ(審査員特別賞)を受賞


 感想は、すごいものを観た。映画の技術は詳しくないけど、新しいことも変わったことをすることもなく淡々と、撮りたかった人の、ただの思いが、びしびしとくる。ラストの盛り上がりとはうらはらな、静かな前半から、私は琴線に触れる、というよりも、琴線を、でぃんでぃん、と指で弾かれ続けた。涙が出るもっと前の、胸がぶるぶるするかんじ。ずっとそんな感じで見入った。
 過去に子供を亡くした介護士の女性と、33年前に妻を亡くした認知症の男性の、二人の心とそれぞれの心を描いている。奈良県郊外の茶畑でおっかけっこをする二人のシーンは良かった。こんな映画は観たことないと思った。造形的に端正で綿密な美しい茶畑の、二人を写すカメラワークが大変かっこよかった。
 手持ちのカメラを使ってドキュメンタリーのように見せつつも、そこには映画とか芝居とか小説とかの表現のジャンルがある中で、映画でしかできないことを存分にやったように感じた。
 ほんとうに静かな映画だった。静かなまま大きなものが動いて大きなことが起きていた。
 ラストでの土の感触が、わたしにも気持ちよくて心地よくて安らかで厳かな気持ちになった。

 近年みた映画の中では、かなり、かなり良い映画だった。
 公開されたらぜひスクリーンでみたい。20インチのテレビサイズでは見えない、きっともっといろんなことが感じられるとおもう。
 誰かとこの映画の話をしたい。
 やっぱりわたしは、誰かが、どうしてもどうしてもやりたい、撮りたい、書きたい、見せたい、と突き動かされて、そのどうしようもなく強い衝動に、弱さからのごまかしやかっこつけをせず、真摯に対峙して身を削る思いで、渾身で作り上げたものみたい。だからそれ以外のものはみたくない。
 すごいものをみたい、という、私のどこかにいつもぷつぷつぷつぷつと沸騰しないで沸き続けている水を、手で掬われた。
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『冬の贈り物』
小枝
馬上修治監督の、『冬の贈り物』の上映会に行く。零式女優加藤めぐみが出演だ。
いい作品だった。
38度で起きたある冬の朝、ミュージシャンを目指して上京、狭い部屋、安い家具、かわいた電話の音、つながらないかみ合わない友人、わかってる、毒づいてみる、ついでに冷蔵庫とにらめっこ。
ひとりぽっちであるということ。男作ろ、とぽつっと吐いて事態を軽くしてみようとすること。陽の光だけは健全なこと。一日がながいこと。無機質な来訪者。
20分の物語だった。いい映画だった。
地元のともだちとおしゃべりしたときに氷をいじくってるシーンが好きだった。
電話するのに正座して、めがねをかけて差出人を確認。病の体に迷惑なほど重い荷物。やるせない。やるせないよー
そして終盤ではこちらまでツーンとした爽やかであたたかい香りが匂ってきました。漂って、ではありません。匂って、です。わたしも一緒に深呼吸です。泣きたくなりました。

そんな映画でした。
いい映画でした。

主演加藤めぐみに、「たとえば有名になった腕のある映画監督さんの、初期作品集をみたときのようなかんじだった。」と言ってしまったのだけど、大丈夫だろうか。と心配です。
監督がまだ有名になってない時って、カメラも照明もセットも編集もきっとお金をかけていい機械を使うってことはできなくて、でも、それでも作品の力がある、伝わってくる、作りたいものが素直に分かる、そういう印象を受けます。
観て良かったな
忘れないだろうなってシーンがいくつかありました。
これからまた観る機会があったら、また観に行くと思います。
一年越しの鑑賞、叶って良かったです。

めぐみさん、上映会おつかれさまでした。
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またまたセクシーボイスアンドロボ
小枝
またまたセクシーボイスアンドロボのことについて。
先日のお話は、りょうが花屋で殺し屋という、個人的にものすごくかっこいい設定でした。花屋は庶民的すぎる商店街の小さな一店。
何者なんですか?
花屋で殺し屋よ。
かっこいー。

佳境のシーンで、りょうが、
「ままごととかお人形あそびなんて大嫌いだった。
だれかのために生きるなんてクソっ最低だと思ってた。」
「(でも今は主婦になって)夕飯を作る感じとかもすき。夫と息子の声がとぎれとぎれに聞こえてくるのも好き。」
「ふふふふ、あっはっは」と笑う
「今、大事なものを、壊したくないの!!!」と叫ぶ

この一連の長セリフが、上の3段階であまりに3つの感情にとぎれすぎてて、ものすごい不自然でそれがずっと気になる。
つまり心の流れが全然見えないから。とまあ演出みたいなことを思った。

木皿泉の話はいつも不自然だ。不自然なことがいっぱいおきて、それがたまにすごいスピードを持って、物語の一部が自分の隣りにいるみたいな気にさせる。
で、原作の黒田硫黄のマンガと作りがだいぶ違うのだけど、なんかこの映像化は面白いことになってるのかもしれないとも思った。

市川美日子なども出てきて、そうやって、いるだけでなんか不自然な人を使って、松山ケンイチはテンション高くてうっとうしいし、リアル、ってのを表現するのにものすごく対極なやりかたをしている。
昔観た、ゴダール映画の「アルファビル」みたいな。

ただしセクシーボイスアンドロボは、けっこうとびとびのテキトーに観ている。


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ドキドキWS
小枝
去る5日、6日、零式のワークショップを久々にやりました。13時〜19時×二日。
内容は、以前の、私が入る前の零式の公演で、かなり好きだったシーンをいくつか抜いてグループで1時間ほどでしあげて発表するというもの。
率直にすごく楽しくてなんか血がぐわんぐわん回っていく感じで、楽しくてしょうがなかった二日だった。
自由になった気がして気持ちよくて、さんざんダメだしされて、重々承知のダメ出しをされつつふんぬー!と思うこともあれどそれでも全然良かった。楽しかったから。別にあたし将来売れなくてもいいや。と思いました。たくさん疲れて思うことがたくさんあって刺激的で脳内がいきなり耕されて熱帯雨林になった気がした。

ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございます。
またの機会にはぜひ宜しくお願い致します。
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ヤモリ
小枝
 ヤモリはまだいた。いつまでいるんだろう。
 今日もセクシーボイスアンドロボを観る。なんかちょっと説教くさい。
天才は泣きたいくらいの孤独を抱えていて、天才じゃないと平凡な毎日なんだって。
私は天才はいやだなあ。天才の人の孤独を描くのは松本大洋。
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ヤモリ
小枝
家のマンションのエレベーターの前に、やもりが死んでいた。
でこぼこの、石の造りのマンション入り口の床にいた。
あまりに小さくてなめくじかと思って、じっくりみたら、
ひっくりかえったヤモリだった。小指ほどの大きさだった。
やもりはちいさかったけど、なんだか質感が大きき者のような
頼りがいのようなものがあった。

あのやもりはだれがお掃除するんだろう。
明日もいるのかしら。

やもりじゃないかも。いもりかもしれない。
イモリよりヤモリの方が、なにかと出番が多いと思う。
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